ハル

息子のハルが産まれた。

産まれて2日目、病室が寒かったせいか彼の体温が少し下がってしまい、大事をとってハルは、NICU(集中治療室)で退院まで過ごすことになった。

NICUにいる赤ちゃんは、未熟児が多く、その小さな人間の姿は、熟練した職人の技のように完璧で、感動的だった。隣のブースにいたトーマス君とは、授乳の間、随分長い間見つめ合った。

各赤ちゃんは、モニターに繋がれていて、NICUは一日中ビープ音が神経質に鳴り響いていた。

日中は、沢山のナースが、真夜中は、3,4人のナースが忙しく、赤ちゃんの世話をしている。

ブランケットでクルクル巻きにされた赤ちゃんは雛人形の様で、ミルクを飲ませてもらい、ゲップを出すために背中をトントンと叩かれている。

トントントントンと、今夜もNICUでは、女雛、男雛がトントン背中を叩かれているのだろう。

真夜中の授乳中、ふっと頭をよぎる。